企画展

企画展
「御用絵師の仕事のいろは」
会期:令和6年6月7日(金)~9月23日(月・祝)

何やら、固そうな言葉「ごようえし」。
お殿さまに仕えた「絵かき」を指します。「御用絵師」とは絵画制作を業として一定の給与と役職名を与えられ、「御用」を勤める「絵師」をいいます。「御用」先が将軍・大名に関わらず、一様に「御用絵師」「御抱絵師」と呼ばれました。

さて、どのような仕事をしていたのでしょうか。
彼らにとって、仕える幕府や各藩のご用命を受けて、作画の指導、作品の鑑定、祝い品・贈答品の制作など、絵画に係るあらゆることが仕事でした。

62万石の仙台藩も江戸幕府に倣い「御用絵師」を数多く登用しています。松島の瑞巌寺は藩祖政宗公によって慶長14年(1609)に建てられ、以後、伊達家の菩提寺として大切に護られてきた禅宗の寺ですが、この建造物を飾る絵画は、伊達政宗の命で選ばれた「絵かき」によって描かれています。

また、当寺には仙台藩二代藩主から十二代までの歴代藩主の肖像画が伝来しています。藩主の肖像画は他所でも制作されましたが、瑞巌寺伝来品は生前に描かれる寿像ではなく、亡くなった後に描かれ、命日の供養のために堂内に掲げられた特別な肖像画です。描いたのは主に仙台藩の「御用絵師」たちです。

今展では、佐久間家・菊田家の作品を通じて、仙台藩の御用絵師の仕事を紹介してまいります。伊達家の菩提寺に遺る御用絵師の作品をどうぞお楽しみください。

展示作品リスト

御用絵師の仕事の「い」 肖像画の制作
作品名称 筆者名 数量 時代
伊達吉村像(五代) 狩野古信筆 伊達吉村賛 一幅 18世紀前半
伊達宗村像(六代) 菊田栄羽筆 一幅 18世紀後半
伊達斉宗像(十代) 荒川養湖筆 一幅 19世紀前半
伊達斉義像(十一代) 菊田伊徳筆 一幅 19世紀前半
伊達忠宗像(二代) 筆者不明 洞水東初賛 パネル 17世紀後半
伊達重村像(七代) 土井利徳筆 パネル 18世紀後半
伊達斉邦像(十二代) 菊田伊徳筆 パネル 19世紀前半
御用絵師の仕事の「ろ」 調度品や設えの制作
作品名称 筆者名 数量 時代
板戸絵 竹に鶴図 狩野左京筆 二面 1622年
仏間 牡丹唐獅子図 狩野左京筆 一面 1622年
牛図・洋犬図絵馬 狩野玄德筆 二面 1650年
綱宗君六十年賀屛風 素軒筆 一双 1699年
維摩居士図 菊田伊洲筆 徹定賛 一幅 賛1864年
毘沙門天図 佐久間晴嶽筆 一幅 19世紀後半
飛天迦陵頻伽図 長谷川等胤筆 二面 1622年
御用絵師の仕事の「は」 記録、席画、絵師と の交流
作品名称 筆者名 数量 時代
陸奥国塩竈松島図 佐久間洞巌著 一冊 1728年
毒龍庵図 荒川如慶筆 伊達吉村賛 一幅 1732年
洞水和尚福浦島長養図 荒川如慶筆 天嶺性空賛 一幅 1732年
松島図 菊田伊洲筆 一幅 19世紀前半
山水図 菊田伊洲筆 一幅 19世紀前半
虎図 佐久間六所筆 一幅 19世紀後半
宝珠図 佐久間六所筆 一幅 1856年
席画 花寄書 六所、晴嶽、東萊、岡千仞他 一幅 1863年

主な出品作品

伊達吉村像 一幅
狩野古信筆 伊達吉村賛 18世紀前半

仙台藩五代藩主の甲冑姿の肖像画。
上方の画賛は藩主自ら詠んだ和歌。
古信は奧絵師木挽町狩野家四代当主で、父周信と共に吉村に仕え、
また、藩主の絵の師でもある。

伊達斉義像 一幅
菊田伊徳筆 19世紀前半

仙台藩十一代藩主の甲冑姿の肖像画。
伊徳は仙台藩の御用絵師(手前絵師)。
奧絵師木挽町狩野家伊川院栄信に学ぶ。

板戸絵 竹に鶴図 二面
狩野左京筆 1622年

瑞巌寺本堂の板戸絵。
狩野永德の長子・光信の画系に属す。藩祖政宗に招かれ、瑞巌寺や仙台城の
障壁画を描く。
仙台藩の御用絵師の始まりと言われる。

毒龍庵図 一幅
荒川如慶筆 伊達吉村賛 1732年

瑞巌寺住職天嶺に招かれて松島に遊んだ五代藩主に随行して
描いた作品。
吉村の歌と文が添えられ、御用絵師と藩主の合作である。
如慶は奧絵師木挽町狩野家三代・如川周信に学ぶ。

松島図 一幅
菊田伊洲筆 19世紀前半

仙台領内の名所図。領内の風景の記録、或いは景勝を描き贈答品とすることも御用絵師の仕事の一つ。
伊洲は仙台藩の御用絵師(手前絵師)。奧絵師木挽町狩野家八代伊川院栄信に学ぶ。

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