[主催] | 東北大学大学院文学研究科 東洋・日本美術史研究室(監修・指導 准教授 杉本欣久) |
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[後援] | 宮城県教育委員会 秋田県教育委員会 山形県教育委員会 福島県教育委員会 |
江戸時代に活躍した東北6県の画家は、「身分階級」と「出身地域」という2つの環境要因に影響され、さまざまな感性や嗜好を育みつつ絵筆を揮いました。決して1ヶ所にとどまるわけではなく、江戸や京都に出て修行を重ね、時には海外との窓口であった長崎にまで足を伸ばし、自らの殻を破るべく、より高みを目指す生き方を選んだ者もありました。それゆえ、その絵画表現も決してローカルにとどまるものではなく、当時としては最先端かつ個性的な作品を残した画家も少なくなかったのです。
そこで本展覧会では、東北6県の藩領に生まれ育った画家を広範囲に取り上げ、彼らの持つ地域性と進取の精神がどのように化学反応を起こし、絵画作品に結実したのかを俯瞰的にみる機会といたします。
東北大学大学院文学研究科の東洋・日本美術史研究室が主催となり、「東北の画人たち」と銘打って2度にわたって開催いたします。
2022年には前編として「秋田・山形・福島編」、2023年には後編として「青森・岩手・宮城編」をご覧いただきます。
現在において「画家」といえば、絵を描いて販売し、それによって生活の糧を得るという「職業」のイメージがあります。けれども、江戸時代は必ずしもそうではなく、本展覧会の名称に「画人」とつけたのは、今でいう「画家」とはややニュアンスを異にすることを強調したかったからです。
江戸時代に活躍した東北6県で知られている「画人」について、その「職業」と「身分」の形態を調べてみると、主として3つに大別することができます。ひとつは絵画制作を本業とし、一定の扶持や所領を拝領して大名家に仕える「御用絵師」です。次に、藩領の城下町や宿場町で生まれて「画家」となった「町人絵師」です。
両者はともに「職業」としては「画家」ですが、前者は「武士」に準じる「身分」でいわば公務員、後者は「工」を生業とする「町人」でいわば自営業者とみることができます。
そしてもうひとつの分類として、藩に所属して俸禄を賜わりながら職務を遂行し、一方で余技として絵筆をふるった「武士」を挙げる必要があります。絵画はあくまでも趣味もしくは内職として描いたのですが、それが高じて本業さながらに評価されたというケースです。
つまり、「職業」は「画家」ではなく藩の政務を司る「吏員」、「身分」は「武士」とみることができます。
1. 佐々木原善 猛虎図 1幅
江戸後期・18世紀後半
4. 狩野秀水 大堰川図 1幅
江戸後期・19世紀前半
12. 氏家龍渓 山水図 1面
江戸後期・19世紀前半
23. 目賀多雲川守賢 富嶽図 1幅
江戸中期・18世紀後半
27. 加藤遠沢 雲龍図 1幅
江戸中期・享保7年(1722)